【No.037】標準原価計算

2017.10.11

こんにちは緒方です

今回は、標準原価計算についてご紹介したいと思います
たまにある学習ブログ、
簿記を知っている方もそうでない方も、
見ていただけると嬉しいです

それでは、本日のブログ、スタート!

講師ブログNo.037

「標準原価計算」

原価計算とは、
「製品がいくらで作られているかを計算すること」

これを行わなければ、
製造業においては正しい経営ができなくなる大切な計算技術です

難しい計算かといわれればそうではなく、
「製造するために使った金額を集計するだけ」
ですので、本質は難しくはありません

ただし、パターンや暗記で試験を乗り切れば乗り切るほど
どんどんできなくなっていくのが原価計算です

今回は、標準原価計算の面白さを、少しだけお伝えします
(長くなると思いますが…


標準原価計算とは、製品原価の計算を予定金額で計算するものです
ここでいう予定とは、標準金額のことであり
標準金額とは、「こうあるべき!」という原価のことです

あるべき原価で製造原価を計算しておき
後から実際額と比較することで、
無駄を排除しようとする素晴らしい計算方法ですね

日本大学が行っている実務アンケートによれば、
(2012年の時点で)標準原価計算を利用している企業は
約50%にも上ります
その目的は、原価のコントロール(無駄の排除)が約45%
財務諸表の早期作成が約43%でした

標準原価計算の開発当初は、
原価のコントロールを行うことが主目的でしたが、
現在は予定金額という便利さを利用した、
財務諸表の早期作成も目的のひとつとなっていますね


例えば、以下のような例を考えてみましょう

・製品1個の製造に用いる材料は5kg(=標準値)
・上記材料の1kg当たりの単価は500円(=標準値)
・実際に消費した材料は510kg(=実際値)
・実際に消費した材料1kg当たりの単価は501円(=実際値)
・当月製造/完成量:100個


この場合、
《標準値》では、100個×5kg=500kgの材料までで抑えるべきですので、金額にすると、500kg×500円=250,000円までで抑えるべきです。しかし、
《実際値》では、510kg×501円=255,510円となりました。
そのため、250,000円-255,510円=5,510円
無駄な支出があることがわかります


では、これをさらに詳細に分析すると、
数量」の面と「単価」の面で、それぞれの
無駄な金額を計算することができます

まずは「数量」の面について

《標準値での数量》は、上記の通り500kgですが、
《実際値での数量》は、510kgを用いています
そのため、10kgの無駄があることがわかります

これは、消費した量のずれであり、
消費量差異」とよばれるものです
消費量差異の金額は、標準単価の500円を乗じて、500円×10kg=5,000円となりますね

次に「単価」の面について

《標準値での単価》は500円/kgですが、
《実際値での単価》は501円/kgです。
そのため、1kg使うごとに1円ずつ損をしてる計算になります。それを実際には510kgを使っていますので、
合計で510kg×1円=510円の損だということになります。
これは「価格差異」とよばれています。

つまり、

数量面での無駄:5,000円
単価面での無駄:510円
合計:5,510円

となるわけですね


ここで、よく教科書等で用いられている分析図を
書くと、次のようになります

小さい四角が標準原価250,000円を示し、
それを上回る大きい四角が実際原価255,510円を示しています

そのため、標準原価と実際原価のずれ5,510円が次の黄色の部分になるわけですね


このとき、次のように分断すれば
さきほどと同じ計算をビジュアル的に行うことができます

しかし、次のように分断してもいいのでは?
と考えられたかたもいらっしゃるのではないでしょうか?

縦に分断線が入っていますね

実は次の図の赤色部分、
価格のずれと数量のずれが混ざった
「混合差異」と呼ばれている部分なのです

これをどう扱うかを考えたとき、
標準原価計算の目的である
「無駄を排除する」が重要になってきます

価格のずれの原因はというと、
為替の変動や取引先の不況など
会社の外に原因があることが多く、
工場ではどうしようもないことが多いです

対して、数量のずれの原因は、
主に工場での無駄遣いが原因なので、
工場長や従業員の努力次第でどうにかしやすいのです

すると、
「削減しやすい数量のずれを、より厳密に把握したい」
という気持ちになるのが自然ですよね

そのため、混合差異は
「管理がしづらい価格差異」に混ぜられて把握されるのです

したがって、価格差異は数量差異よりもあいまいな数値になっています

このように、内容をしっかり考えると
実際に、経営のために利用されている簿記会計は
とても面白いものです

11月4日(土)と11月5日(日)には、
当校での講習会も予定されており、

その中では
色々な企画も考えておりますので
ご都合が付かれる方は、ぜひ参加してみてください

最後までお読みいただき、ありがとうございました